
歯科コンサルタントは、具体的にどんな仕事をするのでしょうか。また、歯科コンサルタントを雇う場合と雇わない場合で、どんな違いがあるのでしょうか。ここでは歯科コンサルタントの役割と、雇うメリットについて解説します。
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歯科医院のコンサルティングとは
歯科医院のコンサルティングは、歯科医院やクリニックの経営戦略、治療方針の設定、人材育成などに対して、運営全般を総合的に分析するサービスです。コンサルティングと聞いて、企業向けの分析サービスを思い浮かべる方もいるでしょう。
しかし、実際には歯科医院に特化したコンサルティング会社も多いのです。実際に、コンサルティングを活用して、売上アップを実現している歯科医院やクリニックは数多くあります。
歯科医院が競争に勝ち残るためには、今後コンサルティング会社の活用が重要な要素になってくるでしょう。
歯科医院のコンサルティングが注目される理由
歯科医院のコンサルティングが注目される背景には、主に次の2つの理由があります。
競争が激化している
歯科業界は、以前よりも収益が上げにくい状況になっています。持続的に歯科医院を運営し、安定した利益を得るためには、厳しい競争に勝たなければなりません。そのために、歯科医院のコンサルティングが利用されているのです。
以前よりも収益を上げにくくなっている
歯科医院は、以前に比べて利益が上げにくくなっています。人気のある医院やクリニックは、問題なく患者を集められますが、それ以外の医院やクリニックの多くは、患者数が足りないという悩みを抱えています。
先進国である日本において、歯科に関連する患者数が急増する状況はあまり考えられません。そのため、歯科医院やクリニックの数が増えれば増えるほど、利益を上げるのが難しい状況に陥ってしまうのです。
歯科医院のコンサルティングの内容
歯科医院のコンサルティングの内容は、コンサル会社によって異なるものの、大まかに以下の項目に分類できます。
集患状況の改善
歯科コンサルティングの主要なポイントは、集患状況の解析と改善です。集患が効果的でないと、たとえ歯科治療の技術が優秀でも、医院の運営は厳しくなります。
歯科医師の中には「歯科治療は得意だけど、集患やマーケティングは苦手」と感じる方が多いという現状があります。
人材採用・育成
歯科医院のコンサルティングでは、どのような人材が歯科医院やクリニックに適しているのか、客観的な視点からアドバイスしてもらえます。また、スタッフの定着率向上のための施策や研修も、サポートしてもらえます。
医院・クリニックのマネジメント
歯科医院のコンサルティングを依頼すると、医院やクリニック全般のマネジメントについても、アドバイスを受けられます。スタッフの配置や業務内容に無駄がないか、コンサルタントによるチェックが入ります。
内部から見ても気づかない課題が、コンサルティングによって明らかになることも少なくありません。
コンサルタントは、以下のような点に注目してアドバイスしてくれます。
自費診療の見直し
多くの歯科医院やクリニックが自費診療を取り入れ、他院と差別化を図っています。ただし、自費診療は患者にとって経済的負担が大きいため、適切な治療内容や価格を設定しないと評判を損なう恐れがあります。自費診療は保険のきかない診療なので、患者は十割負担になります。
そのため、支払う金額に見合った治療内容を設定しないと、患者から不満が出てしまうでしょう。不満が口コミになって広がると、医院の信用を失うことにもなりかねません。反対に、患者が納得する自費診療内容と料金であれば、良い評判が広がります。
自費診療には被せ物、詰め物、インプラント治療、ホワイトニングなど、さまざまな種類があります。これらの割合を増やせれば、歯科医院の経営は安定するでしょう。歯科コンサルタントは、過去のコンサルティングで集めたデータに基づき、適正な内容と料金の自費診療を提案してくれます。
歯科コンサルタントのアドバイスを受けながら、自費診療の内容を見直せば、医院の経営を軌道に乗せることも可能です。
物販の促進
医院の運営を安定させるためには、商品の売上をアップさせることも重要です。しかし、歯科医院やクリニックでは、惰性で商品の販売を行っているケースが少なくありません。つまり、多くの歯科医院の経営者は、物販の重要性を理解していないのです。
コンサルタントの助言を受けることで、歯ブラシや歯磨き粉、フロスなどの各種アイテムの種類選定、販売方法、商品配置の見直しが可能となります。商品の売り上げがアップすれば、医院の経営に貢献できるので、物販についてコンサルタントのアドバイスを受けることは重要です。
医院やクリニックの改装・移転
患者にとって快適な空間を作るためには、定期的な改装が必要です。ただし、どう改装すれば良いのか、またどのタイミングで移転するのか分からない経営者も多いでしょう。
コンサルタントに相談すれば、患者の要望や視点を考慮したアドバイスを受けられるため、改装や移転で失敗することがなくなります。
歯科医院のコンサルティング契約体系
歯科医院のコンサルティング契約は、主に以下の3つのタイプに分かれます。
顧問契約型
顧問税理士や顧問弁護士と同様に、一定の期間契約して「顧問料」を支払う方式です。
成果報酬型
コンサルティングによる業績向上や、売上増加の成果が実現した場合に、コンサルティング料金を支払う仕組みです。もし成果が得られなかった場合は、報酬が減額されるか、コンサルタント料が無料になることもあります。
この方式は、実績が出た時のみ支払いを希望する経営者に向いています。ただし、何を「成果」と見なすかはコンサルティング会社によって異なります。コンサルタント側も報酬がゼロになるのは避けたいため、成果の基準をあいまいにしようとする傾向があるので注意しましょう。
このような問題を避けるためには、あらかじめ「成果」の定義をコンサルタントと確認し、文書にしておくことが大切です。
時間契約型
時間契約型は、時間を単位にして相談を行う契約形態です。この方式を採用すると、支払うコンサルティング費用を時間に基づいて管理できるため、コストを抑えやすいという特長があります。
歯科医院のコンサルを受けるメリット
歯科医院のコンサルティングを受けると、以下のようなメリットが得られます。
業務内容・診察内容を刷新できる
業務や診察内容を刷新できるのも、歯科医院のコンサルティングを受けるメリットの1つです。医院内での業務や診察の変更に対して、不安を感じる方もいるでしょう。しかし、コンサルタントからの客観的な分析やアドバイスがあれば、改善がスムーズに進む可能性があります。
ただし、具体性のないアドバイスや分析を過信するのは危険なので、コンサルタントがデータに基づいて詳細な分析を行っているかという点について、確認することが大切です。
人材育成に繋がる
コンサルタントの助言を基にして研修・人材採用を進めれば、スタッフの業務スキルを向上させやすくなります。
医院の経営者は、人材育成の経験や知識はあまりありません。そこで、その道のプロであるコンサルタントのアドバイスを受けることによって、スタッフの質の向上につながります。
業務効率の向上が図れる
医院・クリニック内で必要だと思われる業務でも、外部の観点から見ると不要な業務と見なされることも少なくありません。無駄な業務を減らせば、必要な業務に人員を集中させられるので、業務効率の向上を自然な流れで達成できます。
歯科医院のコンサルを受けるデメリット
歯科医院のコンサルティングを受けると、多くのメリットがある反面、いくつかのデメリットもあります。
コンサルティング費用が発生する
費用はコンサル会社によって異なりますが、長期的なコンサルティングなどによって、金額が大きくなれば医院の経営に影響する恐れもあります。
コンサルタントの質に差がある
コンサルタントの質にばらつきがある点も、歯科医院のコンサルティングを利用するデメリットとなります。コンサルティングを通じて、業務の効率化や顧客単価の向上を容易に達成できる一方で、利益に結びつかないサービスが排除されることもあります。
しかし、利益に結びつかなくても、患者にとって必要なサービスもあるでしょう。それを利益の面からだけ見て排除するのは、患者にとって不利益となります。
利益の追求と、これまでのサービスの質を維持するバランスをとることが、歯科医院・クリニックの運営を成功させるためには重要です。コンサルタントの質が良くないと、あまり深く考えずにサービスを停止してしまう可能性もあるので注意しましょう。